夏は生きものたちの季節

北回帰線(北緯23‘27“)より上の北半球では、6月21日の夏至に向けて太陽は、子午線を最後の上昇をしています。春の間の自然のデリケートな変化の兆しに目をむける楽しみと比べて、初夏の3節気「立夏」「小満」「芒種」は、生きものたちの動きを、いっそう身近に感じられるときです。24節気とは別の72候というさらに細分化された古来の暦では、この初夏の3節気は次の9つ、どれもみな生きものたちの変化を機敏にとらえています…

  • 蛙(かえる)が鳴き始める
  • 土の中の蚯蚓(みみず)が動き始める
  • 筍(たけのこ)が生えてくる
  • 蚕(かいこ)が桑をたべる
  • 紅花(べにばな)がいっせいに咲く
  • 麦(むぎ)が穂(ほ)を出す
  • 蟷螂(かまきり)が卵から孵(かえ)る
  • 叢(くさむら)から蛍(ほたる)が舞い、光を放つ
  • 梅(うめ)の実が熟し黄(き)ばんでくる

……初夏は、生きものたちが、お日さまといっしょに生きている季節です。そして、むかしは自然とともに生きていた農民たちにとって、こうした季節の微妙な変化は米作りや畑作業のための大事な工程表でもありました。

 

大地との接点が希薄になった現代人には、5月から6月へとすすむ初夏は、ただ心地よいだけの季節なのでしょうか? いえいえ、陽水も歌っています、「風の言葉に諭されながら 別れゆく二人が5月を歩く」 と。明るい太陽のもとで、明日の身体と精神のハーモニーを整えるには最適な季節です。

芒種アップデート