雪ダルマは生きている

雪ダルマは生きている

Kakuichi Institute
Books
カクイチ研究所の絵本

「自然と生命」シリーズ
ティエリー・デデュー 絵・文
田中一明・大野博人 訳
( 2021年1月25日発行 )

絵本の雪だるまは生きている

「自然と生命」シリーズの最後となるこの第6作は、絵本制作の仕事を始めるきっかけでもあったフランスのベテラン絵本作家ティエリー・デデューの作品です。2016年から2019年にかけて発表された雪ダルマと森のなかまたちを描いた4連作シリーズの2番目の作品です。デデューの粗野とも思われるほどの直截的な画法から生み出された絵の一枚一枚に生きるものの圧倒的な迫力が宿っています。早い段階から候補に上がっていたのですが、フランス語からの翻訳という難問もあり、共訳者として助けていただいた大野博人さんの協力をえて、初めて実現した待望の作品です。

  森の生命(いのち)はめぐる

この「雪ダルマは生きている」―原題Les bonshommes de neige sont éternels は、前作の「いのち」のテーマを引き継いでいます。春になって暖かくなれば、融けて消えてしまう雪ダルマ。でもその雪は融けて水になって、森から海へ、そして海となった雪ダルマのいのちは、雲になって空を飛び、やがて、冬、初雪が舞う頃、森に戻ってくる。雪ダルマは、自然の中で、生命も水のようにめぐっていることを教えてくれます。この物語は、ストーリーの構成というより、戯曲のように構成されていて、急転する場面の変化も魅力です。第1幕は、雪ダルマと森のなかまたちの出会い、そして第2幕の別れ。幕間の間奏として、水の層が雪や氷から液体としての水にもどり、川を流れて海に注ぐことを学びます。第3幕は、森の仲間たちによる雪ダルマ捜索作戦、海に筏で漕ぎ出る大冒険です。大円団は、海の水が蒸発して大きな雲になった雪ダルマと再会。1ページ1ページに感動が溢れと緊張が走ります。なにより森の仲間たちの目のかがやきに注目です。その目には希望が映っているのです。 

  この作品はデデューの2017年の作品ですが、前後に刊行されたA la recherche du Père Noël (2015) ―仮題「雪ダルマ サンタに会いに行く」と、Un  Noël pour le loup  (2017)―仮題「オオカミのクリスマス」の2作品を、カクイチ研究所の絵本「こころのかたち」シリーズの第3作、第4作として秋に同時刊行の予定です。お楽しみに!                                                  

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